ピエール・モンタリオ

© VISCO CORPORATION

コマンド表

気だるい午後のひととき。
最近購入したロココ調の姿に身を前にして彼はつぶやく…。

"美しい…。美しい上に最強を誇るこの私。なんて罪作りな…。"

"…旦那さま。造園業者に払う、今月の支払いがやりくりできません。"

視界の隅で萎縮(いしゅく)したジィがおずおずと差し出すその手には、武術大会『FIST』の出場要項が載っている。

(決勝で最強の格闘家を倒せば賞金…か。)

"この私こそが最強だ。ジィ、私は美の完成と名誉のために出場するぞ。"

素顔を隠し、サーベルを手にしたエセ貴族は、敢然(かんぜん)と立ち上がるのだった。
戻る